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日蓮宗新聞 令和2年6月20日号
コロナ禍の医療現場から
日高 隆雄

面会制限は必要。だけど悲しい

 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっています。テレビやインターネットのニュースもコロナ一色で過熱状態です。私の勤務している病院も感染症指定病院になっているため、新型コロナ感染患者を引き受けています。医療崩壊すれすれの感染症病棟で、自らも感染するのではないかという不安に直面しながらも、日々、笑顔で懸命に治療にあたっている医師、看護師をはじめとする医療スタッフに、本当に頭が下がる思いです。そんな最前線の医療現場にいて、考えさせられたことがありました。
 人工呼吸器は肺炎を併発した重症患者の救命に必須の医療機器です。我々の施設においてもご多分にもれず不足しています。重症患者が増えてくると、その限られた人工呼吸器をどのように有効に使うかが、ひっ迫した問題となってきます。できるだけ多くの患者を助けるためには、患者の優先順位を判断したうえで、その割り当てを決定しなければなりません。このことは、最前線に立つ現場の医療スタッフに対して、患者の命のトリアージ(選別)をさせるという厳しい倫理的判断を突きつけることになります。年齢、社会的地位などによる順位づけなど許されるわけはなく、その精神的負担は各スタッフの限度をはるかに超えたものとなります。
 また、終末期がん患者が入院している緩和ケア病棟で予想もしなかった問題が発生しました。入院患者に対する面会制限です。自由な面会は感染拡大のリスクとなるので決して許されるものではありません。しかし、余命わずかの患者の場合、家族の面会や付き添いを過度に制限することはとても悲しいことです。どこまで許可してあげるのか、患者の状態を鑑みて、頭を痛めながら判断しています。
 コロナ禍も収束に向かって一筋の光も見えてきましたが、まだまだ油断はできません。第2波、第3波に至る長丁場を覚悟して、「かからない」「うつさない」を念頭に、これからもみんなでがんばりましよう。合掌。
(日蓮宗ビハーラネットワーク世話人・医師)
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