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生老病死と向き合う あなたのそばに
日蓮宗新聞 令和4年6月20日号
老若ともに輝ける場を
齊藤 耀慧

老いることを悲しまない世の中に

 地方の過疎化は、深刻な問題になっています。人口減少による商業施設の撤退と、生活水準の確保の困難。その結果、就学時期にある子どもを持つ家族や若者の都会への流出に拍車がかかっています。その一方で、高齢者の1人暮らしがどんどん増えています。
 月参りに伺う家にも高齢で1人住まいの人がたくさんいます。顔を見るまでは体調を崩していないかと心配でなりません。開けられた玄関からお線香の良い香りがするとホッとします。部屋の上り口には、採れたての野菜でいっぱいになった寵が置いてあり、それを見ると元気で過ごしていることがわかり安心します。
 「具合が悪くなったら、病院に連れて行ってくれる人がいると助かるんだけど」もよく聞く言葉です。これまで通院のために車を出してくれた親族がいなくなったり、人口減少でバスなどの便が減ってしまっているため、通院に苦労している高齢者も多いのです。日常生活でできなくなっていくことが増え、アシストしてくれる人がいなくなり、精神的にも不安を感じるようになっているようでず。昔は家の中心に長老がいてその周りに老いに寄り添う家族がいました。だから安心して歳をとれ、今のような孤独感はなかったのではと思うと切なくなります。
 私たち人間のいのちは不思議なご縁の中で「授かった」ものです。いのちを「授かったもの」と感じることで、人は他者への感謝や慈愛の心を持つことができます。今、代々のご縁によってつながれてきた「いのち」や、授かった「いのち」を意識する場がなくなりつつあるのだとすれば、それは残念なことです。老いる不安や悲しみを抱く人にとっても、慈愛の心を育む場をなくした若者にとっても、それは不幸なことです。
 老いた人がいきいきと過ごすことができる居場所が少なくなっています。親子の関係も社会の人間関係も希薄になっていまず。しかし少なくなったとはいえ、地域社会に残る若者がまったくいないわけではありません。そんな若者を巻き込んで、高齢者が不安や疎外感を抱かずに過ごせる新しいコミュニティーを構築することができないか。その場所に寺院がなれないか。そ
んなことを模索しています。老いることを悲しませてはいけない。寂しくさせてはいけない。慈愛ある若者を育てなくてはいけない。そういった社会になるよう声掛けしていきましょう。
(日蓮宗ビハーラ・ネットワーク会員)
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