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生老病死と向き合う あなたのそばに
日蓮宗新聞 平成30年6月20日号
アルコール障がい者の心を知る
今田 忠彰

飲酒者は増加傾向。共に闘病する環境作りを

 アルコールの障がいを持つ人が年々多くなっている。統計を見ても、喫煙者は減少傾向にあるが、飲酒者は増加傾向にある。
 飲酒による弊害・問題は、医療的な問題の他に、犯罪、事故、自殺、労働問題など、多岐にわたる。
 医療面では、消化器系や神経系、脳血管疾患、糖尿病、免疫機能異常、慢性感染症、外傷など、多分野にわたる。
 飲酒により疾患を持つ人に問うと、過度の飲酒が身体に悪いことは知っている。しかし、適度な飲酒は健康に寄与する、と回答する。しかし、適度の判断に個人差があり、飲み始めると、自制ができなくなってしまう。
 また、医師から、飲酒を控えるように注意されても、過半数の人が、控えられなかった、と回答している。
 アルコール障害・中毒の一例を紹介しよう。
 Aさんは、人物的には穏やかで、いわゆる人の良い人物といえる。しかし、ひとたび飲酒が始まると自制が効かず、飲めなくなるまで飲み続けてしまう。しまいには救急搬送されて、隔離病棟に入院することになる。
 数年これを繰りかえしており、肝臓や胃や血管など、重篤な状態にある。父親も同じ疾患・中毒で、退院すると父親と同居することになる。母親は、父親の暴力に耐えかねて、別居している。
 Aさんは「断酒の会」に通い始めた。仕事も辞めて、人生設計はできていない。こんなはずじゃあなかったのに。でも、夕方になると、赤提灯や縄のれんの前を通ると、つい、寄ってしまう。
 このジレンマから、抜け切れていない。かつては、本人の意思が弱く、道徳観念や人間性が欠如しているからだと考えられていた。最近は、疾患・中毒ととらえ、医療的な見地から、精神障害の1つとして、治療の対象と考えられている。皆さんの周りにも、このような疾患・中毒を持った人がいるかもしれない。
 環境に強い影響を受けてしまうのも、この疾患の特徴と言える。家族や周囲が共に闘病する環境を作れれば、どんなに心強いことか。
 周囲の協力と応援が、大きな勇気を与えることになるだろう。
 (日蓮宗ビハーラ・ネットワーク代表)
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