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生老病死と向き合う あなたのそばに
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日蓮宗新聞 令和7年11月20日号
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感謝に生きる夫婦の絆
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医師・日高 隆雄
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試練を乗り越えた先に得た大切な宝
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職場で出会った男性との結婚を控え、彼女は幸せいっはいでした。そんななか、不正出血が気になり、産婦人科を受診したところ、進行した子宮がんであることがわかりました。頭のなかが真っ白になり、体中の力が抜け、涙も止まりません。両親との相談の結果、生まれ育った地元での治療を希望し、故郷へ帰ってきました。
一旦、結婚はあきらめましたが、男性の強い希望で実現しました。夫はがん治療で子どもを産めなくなっても、彼女自身の命が一番大事と言ってくれました。子宮やリンパ節をとる手術、さらに抗がん剤、放射線療法と肉体的にも精神的にも大変つらい治療でしたが、夫の支えもあり、がんばることができました。子宝に恵まれることは叶いませんでしたが、夫婦の絆はより一層強くなり、現在は幸せな生活を送っています。彼女は夫への感謝の気持ちでいっぱいです。
もともと信仰を持たない2人でしたが、月に1度、お寺へお参りするようになりました。合掌し、仏さま、ご先祖さまへ感謝の気持ちを伝えます。今、元気で幸せに生きていることのありがたさを感じる時間、それが2
人にとってはかけがえのないひとときです。
彼女は言いました。「大病でしたが、代わりに本当に大切なものを得ることができました。当たり前に生きる日々の尊さと支えてくれる人がいることへの感謝、それは何よりの幸せで、何ものにも代えがたい大切な宝です」。
日蓮聖人は夫を看病中の女性に宛てた手紙『妙心尼御前御返事』で「このやまいは仏の御はからいか」と病に対する心構えを示されました。病は災難ですが、一方で私たちにいのちの尊さ、ありがたさ、たくさんのことを教えてくれます。苦しみを受け止め、祈りながら一生懸命生きていくことで仏さまは私たちを優しく導いてくださるのだと思います。
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(日蓮宗ビハーラネットワーク世話人・富山県妙輪寺住職・産婦人科医師)
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