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生老病死と向き合う あなたのそばに
日蓮宗新聞 令和7年5月20日号
ACP会議
平等な医療とケアの保障を願う
精神科医・太田喜久子

病者の声≠聴く社会に

 精神障害者も歳を重ねると身体的な疾患にかかることもある。かつては生命にかかわる病気になると、引き受けてくれる病院探しに困難をきたすこともあった。薬物療法の進歩と地域の福祉サービスの向上で、現在ではどの病院も精神疾患があっても治療を受け入れてくれるようになってきた。
 精神科医は患者と長年関わりながらも、その人が生命を脅かす病気に罹患すると支援の手を放すことになり、他機関に移った人の訃報を遠くから聞く立場となる。そんなときは、本人の声を聴かないまま支援を中断した悔いが残る。
 近年、1人ひとりを尊重する医療とケアのためにアメリカを発祥とするACP(アドバンス・ケア・プランニング)の取り組みが日本でも始まっている。癌、心不全、呼吸器慢性疾患に導入されているが、精神疾患患者にはその病気の持つ特性から自己決定が十分尊重されないのが現状のようだ。
 25年間ほど関わりを持った全般性不安障害の60代女性は4年前、頸部に豆粒ほどの腫瘤ができ耳鼻咽喉科で経過観察中、急に13センチに肥大し自潰・出血し始めた。検査でステージ4と診断され、余命6ヵ月が宣告された。患者は何もしない治療を選択していた。人生会議の必要性を本人に伝え、関わってきた多くの支援者が一堂に会し本人の声を聞いた。本人は痛みだけ取り除いて欲しいだけで、専門的検査と治療は拒否し、死の準備の多忙さを話すのみだった。3回目のACP会議では余命宣告から6ヵ月たち、舌を動かすことができず嘸下困難になっていた。生きて話している自分に気が付き、生きるための医療を受ける意思表示をした。精神症状を楯に身体的には保存的治療のみを受けて、医療者側との意思疎通ができていなかったようだった。
 万が一に備えて自分が大切に思っていることや希望すること、今後どのような医療や支援を望んでいるかを考える医療とケアのプロセスがACP会議なのである。平等な医療とケアが保障されるシステム、そして病者の声を聴く社会環境つくりを始めねぱと思う昨今である。
(日蓮宗ビハーラ・ネットワーク会員)
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